祭りの根本は祈りですが、祭り自体を守り伝えるために人は祭りの中に楽しみを取り入れて来ました。祭りを半ば口実に自分たちの楽しみとしてそれを行うことが、守り伝える大きな力になっています。



たとえばどんな楽しみ方があるのでしょう。



○楽しみとしての祭り囃子





・4日共同催事の一斉囃子




山車の引き回しには欠かせない祭り囃子です。

山車を曳く参加者を囃し立て、祭り気分を高揚させます。

昔狭い道で鉢合わせした際に進路を賭けて行った他町との囃子の競い合いなども、今では楽しみの一つで、この競り合いに勝つために囃子方は研鑽し腕を磨きました。





・浅間大社前4区の競り合い




祭り囃子の役割は祭りの場を盛り上げること。

聞く人に心地よさを与えることです。



創作太鼓との大きな違いは、祭り囃子は場を盛り上げるための脇役だということ。

囃子方は花形なのだけれど、あくまで主役は「祭り」というとても大きな生き物で、囃子はそれを心地よく動かす潤滑油のようなものと言えましょう。



これは誰でも経験できるというものではありませんが、同じメンバーで何年も繰り返しているうちに、個が消えて一つの囃子に解け合うという無我の境地になることがあります。あまりの心地よさに、このまま囃子を止めずにずっと続けていたいと思うほどです。

まさに忘我の境で、こんな時は全員がそれを感じているものです。

また、一度この経験をしたばかりに囃子から抜けられなくなる人は多いです。



たぶん経験できないからでしょうが、この境地を一度も経験しないまま囃子を止めていく方が多いように思います。最近は後継者育成もあって囃子方の数も多く、構成メンバーが流動的で、同じメンバーで繰り返すと言う機会自体が減っています。



そんな影響もあるのでしょう。

でも、その境地の寸前まで行きながらあきらめてしまうのは、山頂を目前にして山を下りるようなもので、何とももったいないと思います。



関連サイト

富士宮囃子と秋祭り
 富士宮囃子保存会公式サイト

ふじのみや美図   富士宮の祭り、富士山などを精細な写真で紹介。