燈回廊の夜、三匹の子猫を保護した。



最初に見かけたのが前々日だった。参道に並ぶ風車の後ろから現れた黒トラの子猫はなかなか可愛いが、怯えているのか人を威嚇して飛びかからんばかりの構えだ。我が家にいる年老いた猫との共存を考え、拾って帰るのを思いとどまった。



翌日も同じ場所で猫の声を聞き、植え込みの茂みの中に三匹の子猫がいるのを知った。近くの居酒屋の女将さんに刺身の残りをもらって与えると、がつがつと食べる。このあたりで見かける野良猫の子ではないかとの話。

この茂みで生まれたなら、へたに手もかけられないかと、そのままにして帰った。



そして燈回廊の夜。燈回廊を撮りに出かけると、茂みの前で心配げな人がいた。子猫を見つけたが飼う訳にも行かず、誰かが拾ってくれないかと心配していたようだ。

どうやら野良の子ではないらしく、人に撫でられてのどを鳴らしている。



予報は天候の崩れを告げている。飢えて雨に打たれたら命も危うい。保護することに決めていったん帰宅した。

燈回廊の片づけが終わった頃、猫の運搬用ケースを持って出かけ、驚かさないように時間をかけて三匹を捕まえた。



我が家でも最初は物陰に隠れていたが、次第に慣れて椅子の上で身を寄せ合って寝るようになった。





赤トラ、黒トラと比べて、グレーの猫は一回り大きい。ひょっとすると別々に捨てられていたものかもしれない。

捨てられた子猫同士が、茂みの中で身を寄せ合っていたのかと思うといじらしく思える。



黒トラは出会いからして、我が家に来るべき縁を感じる。

他の二匹はしかるべき貰い手を探すつもりだ。