「諫鼓苔深うして鶏驚かず」

中国の伝説の君子が、自分が政を誤り人民を苦しめる事があったら、この太鼓を叩いて私を諫めるようにと城門の外に太鼓を設置した。

しかしそれだけの気遣いのある人だったので、世は丸く治まり、長い年月を経て太鼓は深く苔むし、鶏の遊び場になっていたという。

それ故に諫鼓に鶏の遊ぶ様を「諫鼓鶏(かんこどり)」と称し、天下太平の象徴として山車飾りなどに用いられるようになった。

将軍家の上覧祭で「江戸天下祭り」と呼ばれた神田祭の一番町大伝馬町の山車にはこの「諫鼓鶏」が載っている。



今年1月に国立科学博物館を見学した際に見かけたものだ。

まさに苔むした太鼓に遊ぶ「諫鼓鶏」で、太鼓面が時計の文字盤になっている。



2種類の諫鼓鶏の時計が展示してあった。





我が町内「湧玉宮本」の山車にも諫鼓鶏が乗っている。

成田山に長年干支の動物を奉納されている竹屋さんにお願いして、竹で編んで頂いたものだ。

昭和57年に山車修復の祭に作成され、1回修理されている。



昨年の秋まつりで見かけた雲だ。

山車上の鶏を投影したような雲が上空に遊んでいる。

作られてもう25年にもなる。諫鼓鶏は役目を終えて、昇天したのだろうか。