浅間大社流鏑馬祭で、甘葛太夫(あまづらだゆう)と呼ばれる役職がある。
甘葛と呼ばれるいにしえの甘味料を、流鏑馬祭に奉納するという役だ。
Wikipediaより引用する。
アマヅラ(甘葛)とは、甘味料のひとつである。砂糖が貴重な時代には水飴と並んで重宝された。一般的にはブドウ科のツル性植物(ツタ(蔦)など)のことを指しているといわれる。一方で、アマチャヅルのことを指すという説もあり、どの植物かは固定されていない。
縄文時代の貝塚の中から出土されており、この頃から甘味料として利用されたと思われる。安土桃山時代になり砂糖の輸入が活発になると都市部でアマヅラの需要はほぼなくなり、さらに、江戸時代に砂糖の大量供給が実現すると全国的にアマヅラを作るところは少なくなった。
なお清少納言は、枕草子で貴族がカキ氷のうえにアマヅラをかけて食べる描写を書いているのだそうだ。
3本の竹筒に入った甘葛を竹の匙を添えて神前に奉納する。
神事の終わりに参列者に甘葛が振る舞われた。
常緑広葉樹の柔らかな若葉に竹の匙で一滴甘葛を垂らし、参列者はこれを舐める。
私もいただいたが、少しとろみのある甘さは蜂蜜を薄めたような感じがした。
甘葛 - 戦国日本の津々浦々より によれば、
「深山に自生する蔦(つた)の一種。もしくは、この蔦の樹液を集めて煮詰めて作られたシロップ状の天然甘味料。日本では砂糖の本格普及以前の甘味料として重宝された。」とのこと。
砂糖がなかった。あるいは今のように簡単に入手できなかった時代には、あらたまって神前にお供えするほどの、さぞかし貴重な物だったのだろうな。
貴重なものを味わわせて頂いたが、これもお祭りにご奉仕させて頂いている役得という物。