紀元杉から少し戻り、ヤクスギランドを見学。


 


正直言って、場末の遊園地じゃあるまいにこのヤクスギランドという名前は何かそぐわない。


名前を聞くだけで、あまり期待はできないんじゃないかと思った。


しかし歩道や手すり、説明を聞くところにはぬかるみ対策だろうか石版が埋め込まれ整備されている。こう言ったものを見るとむやみに人が自然に立ち入らぬような気遣いも感じられ、名前から受けるがっかり感を少し見直した。


 



入り口にいたヤクシカだ。ここまで上ってくる途中でも何匹か遭遇していたが、人慣れしているのか落ち着いた物だ。ガイドさんが言うには人の数ほどヤクシカもいるのだそうだ。


 



昔の屋久杉伐採跡


当時は大きな材木として伐られたようで、用材に適する根本を除いた少し高い部分で伐られている。伐った屋久杉は屋根材用に板に挽き、人が背負っておろしたという。


巨木の大きさを活かすのではなく、小材をたくさん得るために伐られたと言うのは少し悲しいが、運び出すことも難しい険しい山奥だ。無理もないか。


300年ほどの時を経て、切り株には新たな種が根付き成長している。


 


花崗岩に覆われた山肌では養分に乏しく、倒木や切り株は豊富な養分を持つ格好の培養地だ。倒木から新たな木が育つことを倒木更新、切り株から育つことを切株更新と呼んでいる。


 



双子杉


切株の上に2本の杉が切株更新で育った物。異なる樹種も絡みつくように共生しており、数百年も経てば狭い切株の上で融合するのではないだろうか。


 



くぐり杉


元々2本の木だったが、右側の木が倒れかかり左側の木と上部で合体している。


 



木漏れ日の中を進む。


雨なら雨具をまとっての見学らしいが、蒸しもせず風が心地よく天気には本当に恵まれていた。


 



倒木や切株といった朽ち木を豊かな土壌としての輪廻転生、そして融合。


悠久の時と自然に対する畏怖の念が屋久杉を守ってきたのだろう。


 


1993(平成5)年に世界自然遺産に登録された。


 



見学コースを抜けた道路際の朽ち木の中に芽生えを見つけた。


どこに生じたにしても、育つ枯れるは運の善し悪し。


人の手によって寿命が縮められぬよう祈りたい。


有るがままであれ。


 



下山するバスの窓からヤクザルの親子を見た。


案外人慣れしているのか道路際にいたが、際を乗用車が通り抜けるとさすがに危険を感じたかその後山側に後ずさった。


 



宮之浦港から船で指宿に戻る。


山頂部の雲はまた増えたようで、好天の元で見学できたのは本当に幸いだった。


 


来るときには高速船で1時間15分だったのが、帰りは2時間10分かかる。


理由は直行ではないからで、指宿から来た船は種子島に立ち寄った後に指宿に戻るからだった。


 


今度機会があればじっくりと時間をかけて歩いてみたい。


ウィルソン株や縄文杉など、まだまだ見たい物があるからだ。


 


自然を壊すのも人なら、守るのも人。


次の訪問は20年後の結婚50周年かな。


 


どうぞそのまま変わらずにいてください。


 


 


参考


屋久杉自然観ホームページ