芋虫毛虫が蝶になる。


それは醜いアヒルの子が白鳥になるよりも大きな驚きではないだろうか。


 


羽化したばかりのアオスジアゲハだ。


 


黒光りする翅の地に、水色からうす黄色までのグラデーションが鮮やかだ。


 


人の変化を喩えるならそれは変身だが、昆虫の場合だと変態と呼ばれる。


変態には幼虫から蛹になる蛹化と、蛹から蝶になる羽化があるわけだが、一番大きな変化は一体いつなんだろう。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 



羽化は最終的に蝶になる場面だが、その翅も眼も触覚も脚も、蛹の時代から殻の中に


用意されていたものじゃないか。


時間をかけて熟成し、殻を脱ぎ捨て翅を広げたに過ぎない。


 


 



 


 


 


蛹化の連続写真をgifアニメにしたものだ。


幼虫時代の皮を脱ぎ捨てると、そこにはすでに成虫になるための各部位が割り振られている。


 


蛹化は家造りで言ったら上棟式みたいなもの。


すでにある設計図に従って骨格を組み上げるようなものじゃないだろうか。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 



幼虫の体から成虫の体への見た目の変化は、やっぱり蛹化だろう。


でもその変化のための準備は、蛹になる直前の前蛹の時に行われている。


 


食べた餌を吸収し、糞は全て排出しゼリーのように半透明になった。


糸を吐き、蛹になる足場や体を取り巻く帯も用意した。


そして遺伝子に組み込まれた設計図の通りに、内部で成体の部位を組み立てているところだ。


見た目には判りにくいが、変化のための大きな仕事は深く静かに行われている。


 


動かぬ時変わらぬ時、それはひょっとすると大きく変化するために着々と準備を進めている時かも知れない。


 


大きな変化には、どうしても準備期間が必要なんだろう。


 


スランプってたぶんそんなものかも知れない。