子供の頃聞いたのは「お盆にはご先祖様の霊が生き物に姿を変えて帰ってくるから、殺生はしてはいけない。」と言うこと。
だからお盆だけは、虫を見かけても手を出さないようにしていました。
でもそんな時に限って、よく家に入り込むのがカマキリでした。
この頃になるとカマキリも大きくなって、かなり目立つので印象に残っているのでしょうか。

霊が生き物に姿を変える、あるいは姿を借りる。
そんなことがあるのかもと、思ったことがあります。

末期癌で亡くなった叔母のことです。
作品と研究記録の展示会を開きたいという生前からの念願を、昔からのお友達に実現していただきました。存命中にできればよかったのですが間に合わず、
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偲ぶ展という形で富士宮市民文化会館で展示を行いました。存命中親交のあった皆さんに案内を送らせていただき、盛大な展示会となりました。
この会場内に1匹の蠅が紛れ込みました。会場内をせわしげに飛び回り、来場した友人を案内するかのようで、姉と話したものです。「あれって叔母ちゃんかも知れないね。」って。
お客様でもあり、お友達として長いつきあいのご婦人が来場した時、奥から受付まで飛来して歓喜するがごとく飛び回りましたので、姉と顔を見合わせ「やっぱり!!」。

そんなことがあってから、家に入り込む虫にはちょっと気を遣います。


今年お盆前日のことでした。
風呂から出た息子が、ヤモリが居たと言うのです。
壁から網戸に移り、飛び降りて姿を消したそうです。

今でこそときおり見かけることがありますが、昔はその姿を見ることはありませんでした。
生き物の分布も若い頃と比べると、ずいぶんと変わりました。
昔見られなかった蝶、ツマグロヒョウモンは今では普通種として当たり前に見られ、ナガサキアゲハも年に何度か来訪します。今ではやかましいばかりのアオマツムシの声も、市民文化会館が出来る前にはこのあたりでは聞いたことがありませんでした。
ヤモリの姿を見るようになったのも、そんな影響でしょうか。

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写真は昨年7月5日に表通りに面したガラス窓で撮影したヤモリです。

あぁ、そう言えば初めてヤモリの姿を見たのは、亡くなった叔母の荷物を整理している時でした。
お盆で、叔母さんが帰ってきたのでしょうか。