スッキリ晴れた9月18日の浅間大社だ。
富士山の手前に本殿の屋根が見える。
その手前にあるのが祈祷殿で、1200年の本殿修復の際には御祭神を一時的にお祀りする仮の御殿だった。
この祈祷殿から透き塀の中拝殿前に進む時、目の前に生えている大木がある。
苔むしたこの大木にはノキシノブが寄生し、大きな枝の上には寄生樹もみられる。
頭上に伸びる大枝の下、この中に蝉の抜け殻を見つける事が出来る。
「珍しくもない。」そう思われるだろうが、この抜け殻はかれこれ5年ほどここにしがみついている物だ。
艶もなければ透明感もない。さすがに5年も経てばくたびれもしよう。
この抜け殻の主はとうの昔に殻を出て、短い生を謳歌し土に還った。
脱ぎ捨てられた殻ではあるが、しっかりとしがみつき朽ちる事を拒んでいる。
まさにジャングルに飲み込まれんとする文明の滅びた後の遺跡に見えないだろうか。
目下の興味はこの抜け殻があと何年頑張れるかだ。